「全ての作業を自分達の手で!」のプロジェクト初の作品が完成しました!
始まりは2020年の秋、南牧村で草木染と織りの工房を主宰する塩田先生との話の中で生まれました。
塩田先生は以前、南牧村で蚕を育て、草木染をし作品を作っていましたが、ケガなどのキッカケで育てる事が出来なくなってしまいました。私は南牧村に移住して、ひょんなことから蚕を飼ったらその魅力に取り憑かれ蚕を飼っていました。
経験豊富な塩田さん、体力だけはある私。そんな二人が協力して出来たのがこの企画です。
私たちの住む南牧村は一時期養蚕で栄えた村でした。
今では養蚕農家さんは一軒もありませんが、ご近所の高齢の方々は蚕を飼った経験があり、蚕の話をすると色々なエピソードを聞かせてくださいます。
そんな小さな村で小さなプロジェクトを立ち上げました。
2020年畑を借り、鹿やハクビシンなどが入るので防獣柵を設置。
2021年の春、この企画に賛同してくださった方々に協力してもらって桑の木を植え付けました。
簡単そうに見えますが、粘土質で硬い土。耕耘していたのですがなかなかシャベルが入っていきません。
1人で100株植えるとなると眩暈がしそうですが、たくさんの方に手伝って頂いて無事植え終わりました。
植えたと言ってもその年に出来る訳ではありません。
葉っぱは出てくるのですが、まずは株を育てる事が大事。
3年くらいは桑を育てる事に注力します。
夏が過ぎ、秋が去り、葉が落ちて、桑も冬の眠りにつきます。
そして2022年春。桑たちが一斉に目覚め芽吹きました。
2年目の桑の葉。本来はまだまだ株を育てる必要がありますが、
蚕が好きな私と塩田さん。待ちきれず500頭だけ飼うことに!
可愛いすぎる蚕ちゃん。
これから約2カ月。蚕たちとの生活が始まります。
桑を食べ、眠って、脱皮をして、最後に繭になります。
40℃近い高温に達し、死んでしまうかもしれない不安の中、なんとか繭になってくれてひと安心。
繭になった子たちを取り出して、毛羽取りという作業をします。
今回は数も少ないので手作業でやりましたが、養蚕農家さんでは毛羽取り機があり機械が取ってくれます。
電動になる前は手で回転させて毛羽取り機もありました。
毛羽を取った繭は、次に座繰りという工程に入ります。
繭を煮だしながら糸を紡いでいきます。
次に精練という工程になります。
精練をすることでしなやかで、光沢のある糸に仕上がります。
仕上がった糸がコチラ!
ここまでくるのに約2年。長い長い時間がかかって絹糸になりました。
そしてこの後塩田先生に草木染をして頂きました。
今回は南牧村のススキを使って、柔らかい黄色に。
そして、機織り機を使い、ひとめひとめ織り込みストールに仕上がりました。
とっても素敵なストールに仕上げて頂きました。
編み方も手間のかかる、ねじれを入れたとても繊細なデザイン。
柔らかな手触りは絹ならではの感触。ずっと触れていたい・・・そんな手触りです。
長い時間をかけて仕上がったストールです。
どの工程も手間がかかりますが、手作業ならではの温かさがあります。
昔の日本では当たり前にあったものが、今では消えつつあります。
私たちが生きるためには沢山の命を頂いている。そんな命の授業でもありました。
これから少しづつ量を増やし、ワークショップなども開催していく予定です。
このストールは現在開催中の塩田さんの作品展でも展示されています。
手織り・裂き織・手仕事展
2023年5月20日(土)~5月28日(日)
10:00~16:00
※火曜日定休
道の駅オアシスなんもく
南牧村大字千原3-1