8月に上旬に繭になったお蚕さんたち。
そのままにしていると、蛹から蚕蛾になったお蚕さんたちが繭を溶かしてでてきてしまうので次の作業に移らなければなりません。
早速作業に入っていきます。
まず蔟(まぶし)に収まった繭をひとつひとつ手作業で取り除いていきます。
今回は500頭なのでまだ楽ですが、養蚕農家さんは機械を使って繭を取り除くそうです。
写真は蚕糸技術センターで操作させてもらった「繭クリーン」とい機械です。
1枚の蔟ごと機械に入れるとどんどん繭と毛羽をとってくれます。
操作にコツがあるので慣れるまでちょっと大変です。
間違って入れてしまうとすごい音がして、場合によっては壊れてしまうことも。
壊れても簡単には直せないし、今では販売していないと思われます。
蔟からとった繭は、フンが付いていたり、繭を作るときの足場の糸(毛羽)がついたままなので、これを綺麗に取っていきます。
この時にゴミも一緒に取っていきます。
とても地味な作業も塩田先生と一緒にお話しながら楽しい時間。
塩田先生もお蚕さんが大好きなのでお蚕さん話で盛り上がります。
作業すること数時間。
綺麗になった繭ですが、このままだとまだ生きているので、数日間冷凍をして、お蚕さんとお別れをします。
座繰りに入る前に繭を煮る作業をします。煮繭(しゃけん)といいます。
大きな鍋に繭を入れて、繭を煮ていきます。これは、糸をほぐれやすくする為に行われます。煮繭が終わったら座繰りをします。
座繰りとは繭から糸にしていく工程のこと。歯車がついた手動の機械で巻き取ります。
繭の数は80個。
繭から糸口を取り出し、片手で糸車を回しながら巻き取ります。
ボウルの中で揺れる繭はまるでダンスをしているみたい。
どんどん巻き取っていきます。
最後は繭の中に入っていた蛹が出てきます。残酷なシーンでもあります。
この蛹も昔は貴重なたんぱく源として食べたり、鳥や家畜の餌にしていたそうです。
次に撚糸(ねんし)という作業に入ります。
シルクの糸は細いので複数の糸をねじって強度を高め、風合いを出していきます。
そして精練(せいれん)という作業を行い余分な油脂や汚れを取り除き、しなやかにしていきます。
そして出来た糸がこちら。
国産絹糸100%!というか。なんもく産絹糸100%です!
とても柔らかく、優しい色合いの糸が出来ました。
あんなに小さかったお蚕さんが繭を作って、そして糸になる。感無量です。
命を頂いてこそできた絹糸。感謝の気持ちが湧いてきます。
桑の植付からカウントして2年半かかりました。
スマホ時代になってめまぐるしく変化していく時代、効率・生産性向上と叫ばれる中で、時間をかけて、命と寄り添って出来るもの。改めてお蚕さんは尊いなと思いました。
この絹糸は10月15日から10月30日まで、道の駅オアシスなんもくで塩田先生の作品展があるので、期間中展示して頂くことになりました。
お時間がありましたら是非見にいらしてください。
~塩田先生の作品展情報~
場所:道の駅オアシスなんもく お休み処
群馬県甘楽郡南牧村千原3−1
日時:2022年10月15日(土)~10月30日(日)
10時~16時
定休日:火曜日