繭から絹糸へ

公開日:2022年9月23日 更新日:

8月に上旬に繭になったお蚕さんたち。
そのままにしていると、蛹から蚕蛾になったお蚕さんたちが繭を溶かしてでてきてしまうので次の作業に移らなければなりません。
早速作業に入っていきます。

まず蔟(まぶし)に収まった繭をひとつひとつ手作業で取り除いていきます。

地味な作業が続きます

今回は500頭なのでまだ楽ですが、養蚕農家さんは機械を使って繭を取り除くそうです。
写真は蚕糸技術センターで操作させてもらった「繭クリーン」とい機械です。

一気に取れて早い!

1枚の蔟ごと機械に入れるとどんどん繭と毛羽をとってくれます。
操作にコツがあるので慣れるまでちょっと大変です。
間違って入れてしまうとすごい音がして、場合によっては壊れてしまうことも。
壊れても簡単には直せないし、今では販売していないと思われます。

蔟からとった繭は、フンが付いていたり、繭を作るときの足場の糸(毛羽)がついたままなので、これを綺麗に取っていきます。

蔟から取った繭
またも地味な作業です
綺麗になりました!

この時にゴミも一緒に取っていきます。
とても地味な作業も塩田先生と一緒にお話しながら楽しい時間。
塩田先生もお蚕さんが大好きなのでお蚕さん話で盛り上がります。

作業すること数時間。
綺麗になった繭ですが、このままだとまだ生きているので、数日間冷凍をして、お蚕さんとお別れをします。

座繰りに入る前に繭を煮る作業をします。煮繭(しゃけん)といいます。
大きな鍋に繭を入れて、繭を煮ていきます。これは、糸をほぐれやすくする為に行われます。煮繭が終わったら座繰りをします。

座繰りとは繭から糸にしていく工程のこと。歯車がついた手動の機械で巻き取ります。

回転しながら糸が引き出されていきます

繭の数は80個。
繭から糸口を取り出し、片手で糸車を回しながら巻き取ります。
ボウルの中で揺れる繭はまるでダンスをしているみたい。
どんどん巻き取っていきます。

座繰りの機械

最後は繭の中に入っていた蛹が出てきます。残酷なシーンでもあります。
この蛹も昔は貴重なたんぱく源として食べたり、鳥や家畜の餌にしていたそうです。

次に撚糸(ねんし)という作業に入ります。
シルクの糸は細いので複数の糸をねじって強度を高め、風合いを出していきます。
そして精練(せいれん)という作業を行い余分な油脂や汚れを取り除き、しなやかにしていきます。

そして出来た糸がこちら。
国産絹糸100%!というか。なんもく産絹糸100%です!

完成した糸

とても柔らかく、優しい色合いの糸が出来ました。
あんなに小さかったお蚕さんが繭を作って、そして糸になる。感無量です。
命を頂いてこそできた絹糸。感謝の気持ちが湧いてきます。

桑の植付からカウントして2年半かかりました。
スマホ時代になってめまぐるしく変化していく時代、効率・生産性向上と叫ばれる中で、時間をかけて、命と寄り添って出来るもの。改めてお蚕さんは尊いなと思いました。

この絹糸は10月15日から10月30日まで、道の駅オアシスなんもくで塩田先生の作品展があるので、期間中展示して頂くことになりました。

お時間がありましたら是非見にいらしてください。

~塩田先生の作品展情報~
場所:道の駅オアシスなんもく お休み処
   群馬県甘楽郡南牧村千原3−1
日時:2022年10月15日(土)~10月30日(日)
   10時~16時
定休日:火曜日

-

執筆者:有賀 八重

関連記事

南牧ふるさと染め講座 ご案内

9/26 マスクを南牧ふるさと染めしてみませんか! 講座参加者募集中

手づくりマスクは珍しくはありませんが、自分で染めたマスクをしている人はあまり見かけません。自然豊かな南牧の植物での染物体験はいかがですか。世界でただひとつのマスクになります。自分で染めたオリジナルのマ …

疲労回復の眠りヨガ&軽いストレッチ教室 6月も開催します!

こちらの投稿がだいぶご無沙汰していました。毎月第3水曜日に開催している村の喫茶店もくもく教室。来月も開催いたします! ストレッチは無理な動きはせずに、ご自身のペースで身体をほぐしていきます。村の美味し …

南牧村立南牧中学校・講話・ふるさと朝礼

村の中学校で講話をさせて頂きました!

去年からご縁を頂き、南牧中学校で関わらせていただいているのですが、中学校ではキャリア教育の一環として「ふるさと朝礼」を実施していて、その講師としてお話させて頂く機会を頂きました。 精神科での話やエステ …

南牧で育った藍でストールを染めよう!藍の生葉染め体験教室開催しました。

暑い日が続きますが、南牧村で育つ藍は元気いっぱいに育っています。沢山の太陽を浴びて育った藍の生の葉っぱを使って「藍の生葉染め教室」を開催しました。キャンセルもあったので結果的に少人数すぎるプライベート …

椚石・採掘場所・椚地区・手作り花瓶教室

8/8 My花瓶づくり教室 満席の為受付終了!

苦を脱ぎ福を呼び込む椚石(くぬぎいし)でオリジナル花瓶をつくりませんか? どなた様でもご参加可能です! 南牧村の椚地区で江戸時代から採石されている椚石(くぬぎいし)は苦を脱ぎ、福を呼び込むとも言われます。講師は江戸末期から続く青木石材店5代目店主の青木清二さん。この道のプロの指導で椚石を自分で削ったりしする体験は他のところでは決して味わえません。