群馬県では日本で唯一「蚕糸技術センター」や県庁の中に「蚕糸園芸課」など蚕にまつわる部門があります。
2014年に富岡製糸場と絹遺産群として世界遺産に登録され、蚕糸業に力を入れているようです。
先日、蚕糸技術センターで「養蚕基礎講座」があると知り、参加してきました。
養蚕を取り巻く情勢や蚕や桑の基礎知識を教えていただき、希望者には蚕を頂けるということでお蚕さんを連れて帰ってきました。
私は高崎市の生まれですが、小さいころ親戚のお宅で養蚕をしていた家が数軒あり、手伝う程ではありませんでしたが、見たり触ったりしたことがありました。
その後は蚕と関わること全くなかったのですが、結婚後、沖縄を出て一時東京に住んでいた時に、育毛やシワ、保湿などに蚕が作る繭の中に含まれる「セリシン」とい成分を知り、桑研究の第一人者、原三郎先生のワークショップに参加した事をきっかけに繭や蚕に興味を持ちました。
ワークショップで作ったセリシンを付けたら細かった伴侶さんの髪の毛が元気になったり、肌に塗るとしっとりスベスベのお肌になったり、セリシンってすごい成分だと感じました。
そして南牧村に移住後、富岡製糸場がある富岡市で市民養蚕という養蚕業への理解を深める事業をやっていると知り参加しました。
初めてのお蚕さんはマニュアル通りにいかなく悲しい思いもしました。
お蚕日記を付けて毎日の変化を観察して記録したりしました。
お蚕さんがかわいすぎて「ニョロ吉」と名前まで付ける親ばかぶり。
そしてお別れの時は寂しくて涙したこともありました。
この時期南牧村では気温が0℃になることもあって、温度&湿度管理が難しいと思ったので少しだけ(6頭)頂きました。もしかしたら繭にならないかもと心配でしたが、無事6頭とも繭になりました。
夏蚕の時はどんどん糸を吐いて繭になりましたが、今回かなりゆっくりペース。
やっぱり寒いのは苦手なようです。
ちなみに、今回のお蚕さんもニョロ吉と名前をつけました。
私の住む南牧村でも昔は養蚕業が盛んでした。
村内の古民家では2階を蚕の飼育場所にして、囲炉裏などで暖かい空気を2階に上げて温度管理をしたそうです。
古民家はたくさん見かけますが、村内で養蚕をしている人は今ではいません。
桑の管理や、お蚕さんが大きくなるとかなりの量の桑を食べる為、桑取り作業はかなりの労力になり、高齢化の進んだ村ではやる人がいなくなったようです。
近所の方に桑や蚕の話をするととても嬉しそうに話をしてくださる方もいます。
生活の為だけでなく、愛着をもって育てていたと聞くとなんだか気持ちが温かくなりました。
長い長い間人間に家畜化され、お蚕は自然に返しても生きていけない、とても弱い昆虫です。人間にとって貴重なシルクやコロナのワクチンの開発など薬用として、また化粧品の成分として使われている蚕さん。人間と切っても切れない関係だからこそ、大切にしていきたいと思います。